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監護権の変更は離婚後でもできる? 変更方法や注意点を解説

2023年09月28日
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監護権の変更は離婚後でもできる? 変更方法や注意点を解説

令和3年、長野家庭裁判所で934件の婚姻関係事件が申し立てられました。婚姻関係事件では夫婦関係の調整や離婚についての調停や審判が行われます。

子どもがいる夫婦が離婚をする時に問題になることのひとつが「親権」です。離婚をする時にどちらかの親を単独の親権者として、離婚届を提出する必要があります。離婚後は親権を持つ親と子どもが一緒に暮らすことがほとんどです。しかし、親権者ではない親と子どもが一緒に暮らすケースもあります。

このようなケースには「監護権」が大きく関わってきますが、「監護権」とはどのようなものなのでしょうか? 監護権の内容から監護権の変更について、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士が詳しく解説していきます。

1、監護権とは? 親権との違い

「監護権」とは何かを理解するためにはまず、「親権」について知る必要があります。

  1. (1)親権と監護権

    「親権」とは未成年の子どもを親が監護・教育したり、子どもの財産を管理したりする法律上の権利・義務のことです。「親権」は大きく分けて2つの権利・義務で成り立っています

    ひとつは財産を管理する権利・義務である「財産管理権」で、もうひとつが通称「監護権」と呼ばれる「身上監護権」です。

    このように、監護権は親権に含まれているものであるため、通常は親権者が監護権も持って子どもと一緒に暮らしますが、親権と監護権を切り離す例外もあります。

    「監護権」の詳しい内容や親権者と監護権者が異なるケースについて解説していきましょう。

  2. (2)監護権の内容

    監護権には4つの権利・義務があります。
    それぞれ詳しくみていきましょう。

    ① 子の人格の尊重等(民法821条)
    令和4年12月に改正されるまで、民法には子どもをしつける権利として「懲戒権」が規定されていました。民法改正によって懲戒権は削除され、新しく規定されたのが「子の人格の尊重等」という義務です。

    この規定によって、監護権者は子どもの人格を尊重するとともに、その年齢と発達の程度に配慮する義務があります。さらに、体罰やその他の子どもの心身の健全な発達に有害は影響を及ぼす言動をしてはいけません。

    ② 居所指定権(民法822条)
    子どもが住む所を指定できる権利・義務のことです。
    この権利をもとに監護権者は子どもと一緒に暮らすことができます。

    ③ 職業許可権(民法823条)
    子どもが就職することを許可する権利・義務のことです。
    許可をした後に子どもがその仕事に堪えられないと判断した場合は、許可を取り消したり仕事を制限したりすることができます。

    ④ 身分行為の代理権
    子どもが婚姻・離婚・養子縁組など、身分が変わる法律行為をする場合に同意したり代理したりする権利・義務のことです。つまり子どもが結婚したい場合、監護権者が同意することで結婚が可能になります
  3. (3)親権者と監護権者が異なるケース

    先述のとおり、親権者が監護権を持ち子どもと一緒に暮らすケースがほとんどですが、親権者と監護権者を話し合いで分けるケースがあります。
    たとえば父親が親権者になったものの海外転勤を控えていて子どもと一緒に暮らせないため、母親が監護権を持って子どもを育てる、というようなケースです。

    親権をどちらの親が持つのかについては争いになりやすいですが、話し合いで決まらず調停や審判など裁判に進むと時間もお金もかかってしまいます。それを防いで話し合いで争いを解決するためにも、親権者と監護権者を分けることでお互いが納得するというケースもあるのです。

2、監護権の変更は可能? 必要な手続きは?

監護権者が決まった後で、監護権者が子どもにネグレクトや虐待を行うケースや急な海外転勤で一緒に暮らせなくなるようなケースがあります。

そのような場合、監護権を変更することが可能です。監護権の変更手続きについて確認していきましょう。

  1. (1)当事者の話し合い

    まず監護権を変更するために行われるのが当事者である親同士の話し合いです。

    親権の変更とは異なり、監護権の変更について話し合いで合意に至った場合は、特に手続きをする必要はありません。

  2. (2)調停・審判

    話し合いで合意に至らなかった場合には「調停・審判」の申し立てを行います。「調停」「審判」の手続きについてそれぞれみていきましょう。

    ① 調停
    「調停」とは家庭裁判所に申し立てを行い、裁判官1名と調停委員2名の計3名で構成される調停委員会と共に、話し合いで争いを解決する制度です。
    監護権変更の合意に至り調停が成立した場合は、裁判所に「調停調書」を作成してもらいます。「調停調書」は裁判の判決と同じ効力を持つため、書かれた内容を守る義務が発生する公文書です。

    しかし、あくまでも「話し合い」による紛争解決の制度であるため、合意に至らず調停が不成立になることもあります。合意に至らず調停が不成立になった場合には、自動的に「審判」に移行します

    ② 審判
    調停が不成立になった場合、自動的に始まるのが「審判」です。話し合いで解決を目指す「調停」とは異なり、「審判」は裁判官が提出された資料や当事者の意見、その他の事情を考慮して判断を下します。

    審判で監護権変更をするかどうかが決定すると、裁判官が公文書である「審判書」を作成し、当事者はこの公文書の内容を守る義務が生じます

3、監護権の変更を判断する際に考慮されること

当事者の話し合いで監護権の変更を行うことができるのは、先程解説した通りです。

しかし調停に進んだ場合は、調停委員会が監護権を変更するかどうかのアドバイスをするために、そして審判に進んだ場合は裁判官が監護権変更の判断を下すために、いくつか考慮される事情があります。

  1. (1)親側の考慮される事情

    まず親側の考慮される事情は、以下のとおりです。

    • 今までの監護実績
    • 経済力や性格や心身の健康、周囲からのサポートの有無などの監護能力
    • 監護を希望する意思
    • 生活環境
    • 子どもに対する愛情


    特に考慮されるのは経済力や家庭環境が悪化しているかどうかです

    「離婚後にギャンブルにはまって借金を負ってしまった」
    「子どもを虐待するようになった」
    監護権者にこのような変化があった場合、監護権を変更した方が子どものためになると判断され、監護権の変更が認められる可能性が高いでしょう。

  2. (2)子ども側の考慮される事情

    次に子ども側の考慮される事情は、以下のとおりです。

    • 子どもの年齢、性別、性格
    • 子どもの意思
    • 就学の有無
    • 現状の生活環境への適応状態と新しい生活環境への適応性


    子どもの意思は、子どもの年齢にもよりますが、尊重される可能性があるでしょう。
    なお、子どもが15歳以上の場合には裁判所が意思を確認します。10歳前後の場合も判断能力があると判断されると意思を尊重してもらえる可能性があるでしょう。

    このように監護権の変更にはさまざまな事情が考慮されますが、変更するかどうかは「子どもの利益のために変更した方がいいかどうか」という観点から判断されます。

4、監護権の変更における注意点

監護権を変更する場合の注意点について解説していきましょう。

  1. (1)変更内容は書面にする

    当事者同士の話し合いで監護権を変更することに合意した場合、口頭の合意で終わらせるのではなく必ず書面にしましょう。

    その場合の書面は「公正証書」にすることをおすすめします。「公正証書」は公証人によって公証役場で作成される公文書のことです。

    公正証書は通常の契約書と比べて証拠力が高いため、のちに相手が「その文書の内容は間違っている」「偽造されたものだ」というような主張をしてきた場合であってもしりぞけられる可能性が高くなります。
    また公証役場で原本を20年間保管してもらえるため、契約書と比べて紛失や改竄のおそれもありません。

    のちのトラブルを避けるためにも監護権を変更する場合は公正証書にしておきましょう。

  2. (2)親権の変更も同時に行う場合戸籍上の手続きも必要になる

    監護権の変更のみであれば特に手続きは必要ありません。しかし監護権だけでなく親権自体も変更する場合は手続きが必要です。

    親権の変更を希望する場合は、家庭裁判所で親権者変更の調停・審判を行う必要があります

    調停の成立または審判の確定した日から10日以内に、調停成立の場合は「調停調書の謄本」、審判確定の場合は「審判書の謄本と確定証明書」と一緒に、市区町村役場に親権者変更の届出をしましょう。

5、まとめ

監護権は親権に含まれる権利義務のうち「子どもを監護する権利義務」のことです。通常は親権者が監護権も持ちますが、親権者と監護権者を分けることもできます。

また分けた後に監護権者を変更することも可能です。話し合いで変更することができますが、話し合いで合意に至らない場合は調停や審判を家庭裁判所に申し出ましょう。その時には親側の経済状況や家庭環境の悪化、子ども側の気持ちが考慮されて「監護権を変更した方がいいか」が判断されます。

また話し合いで合意に至った場合であっても公正証書を作成してトラブルを防ぎましょう。
親権変更と監護権変更を同時にする場合は戸籍の手続きが必要になることも注意が必要です。

監護権変更や子どもの養育費などについてお困りのことがあればベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士に是非ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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