離婚裁判後に嫌がらせで控訴される? 嫌がらせの内容や対処法を解説
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離婚を考え始めたとき、あるいは話し合いや裁判を進めている途中で、相手から嫌がらせを受けたり、手続きが長引くことに不安を感じたりする方は少なくありません。
この記事では、離婚に関する嫌がらせの実態、とくに「嫌がらせ目的の控訴」はどのようなものかを解説します。あわせて、よくある嫌がらせの種類とその対処法、弁護士に相談するメリットや実際の相談の流れについても、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士がわかりやすく説明します。
1、離婚裁判後、嫌がらせで控訴される?
離婚裁判の第一審で判決が出ても「相手が結果に納得せず、控訴してくるのでは?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
ここでは、控訴制度の基本と、いわゆる「嫌がらせ目的の控訴」が実際に起こりうるのかについて解説します。
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(1)控訴制度の概要
日本の離婚手続きは、まず夫婦の話し合い(協議離婚)から始まります。話し合いで合意に至らない場合には、家庭裁判所での調停手続き、それでも話がまとまらない場合に、初めて離婚訴訟(裁判)を提起することができます。
そして、裁判所が下した第一審の判決に不服がある場合、当事者は上級の裁判所(高等裁判所)に対して再度審理を求めることができます。これが「控訴」です。
控訴審では、第一審の判断が正しかったかどうかを改めて検討します。 -
(2)嫌がらせ目的の控訴の可能性はゼロではない
控訴をするためには「控訴の利益(=法的に争う意味があること)」が必要ですが、逆に言えば、この条件を満たす限り、控訴が可能です。そのため、相手が「離婚成立を遅らせる」などの嫌がらせを目的で控訴する可能性はゼロではありません。
ただし、嫌がらせを目的とした控訴が、控訴人に有利に扱われることはほとんどないと言っていいでしょう。
裁判所はあくまで、法的な主張や提出された証拠にもとづいて公正な判断を下します。根拠のない控訴や、単なる感情的な主張は、結果的に相手の信用を損なうだけで、裁判上のメリットはほとんどありません。
2、離婚時に相手から受ける可能性のある嫌がらせと対処法
離婚問題がこじれると、法的な手続きだけでなく、日常生活においてもさまざまな嫌がらせを受ける可能性があります。ここでは、代表的な嫌がらせの例と、その対処法について詳しく解説します。
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(1)しつこくメール・SNS・電話等をしてくる
離婚協議中や別居中に、相手から電話やメール、SNSのメッセージが何度も届くケースがあります。中には、暴言や脅迫めいた言葉が含まれていることも。
こうした行為は、ストーカー規制法における「つきまとい等」や、DV防止法における「身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」に該当する可能性があります。
このような行為への対処法は以下の通りです。① 証拠を確保する
相手からの電話を録音したり、メールやメッセージを保存したりするなど、嫌がらせの証拠を収集しておくことが非常に重要です。これらの証拠は、警察への相談や法的手続きを進める際に有力な材料となります。
② 警察に相談する
最寄りの警察署(生活安全課など)に相談することで、ストーカー規制法に基づいた対応を求めることができます。
警察は、ストーカー行為の被害者からの申し出に基づき、加害者に対して「警告」を発したり、公安委員会が「禁止命令等」を発したりすることがあります。禁止命令に違反した場合は刑事罰の対象となります。また、刑事告訴をして相手の処罰を求めることも可能です。
③ DV防止法に基づく保護命令を申し立てる
相手からの暴力や脅迫により、生命や心身に重大な危害を受けるおそれが大きい場合、地方裁判所に「保護命令」の申立てができます。
これには、一定期間の接近を禁じる「接近禁止命令」のほか、「電話等の禁止命令」も含まれ、メールやSNSでの連絡を含む一切の接触を禁じることができます。 -
(2)会社や勤務先に押しかける
別居中の自宅や実家だけでなく、勤務先にまで押しかけてきたり、待ち伏せをしたりする行為も、ストーカー規制法上の「ストーカー行為」に該当する可能性があります。
また、勤務先に対して配偶者を誹謗中傷する書面を送るなどの行為は、「名誉棄損」として民事上、刑事上の法的責任を問うことが出来る場合があります。
勤務先への押しかけなどへの対処法は以下の通りです。① 警察への相談とストーカー規制法の活用
しつこい連絡の場合と同様に、警察に相談し、ストーカー規制法に基づく「警告」や「禁止命令等」を求めることが有効です。勤務先での言動を記録した写真や動画、目撃者の証言などの証拠を確保しておきましょう。
② DV防止法に基づく「接近禁止命令」
DV防止法に基づく「保護命令」の一環として、「接近禁止命令」を申し立てることができます。この命令が発令されると、相手はあなたの住居だけでなく、勤務先やその他通常所在する場所の周辺をうろつくことが禁止されます。
③ 転居・避難と住民票の閲覧制限
身の安全を確保するためには、相手に知られていない場所への転居や一時避難も有効な手段です。転居した際は、市区町村の役所に「DV等支援措置」を申し出ることで、相手方があなたの新しい住民票や戸籍の附票を取得することを制限できます。 -
(3)十分な生活費を渡さない(経済的虐待)
夫婦には、互いの生活レベルが同等になるように助け合う「生活保持義務」があり、収入の多い側は少ない側に対して生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。
そのため、意図的に生活費を渡さない、あるいは大幅に減額するといった行為は「経済的虐待」として、離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」を基礎付ける事情となり得ます。
生活費が支払われない場合の対処法は以下の通りです。
① 婚姻費用の請求
婚姻費用は、原則として「請求したとき」から支払義務が発生します。そのため、できるだけ早く請求することが重要です。後日の証拠とするため、配達証明付きの内容証明郵便で請求するのがもっとも確実です。
相手が支払いに応じない場合は、速やかに家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てましょう。
② 公的支援制度の活用
婚姻費用が支払われるまでの当面の生活に困窮する場合には、以下のような公的な支援制度の利用を検討しましょう。- 生活保護:親族からの援助や就職の目処が立たない場合、生活保護の申請を検討します。
- 児童手当の受給者変更:子どもを連れて避難している場合、離婚成立前でも、所定の手続きを踏むことで児童手当の受給者を相手から自分に変更できる可能性があります。
- 各種貸付金・助成制度:母子父子寡婦福祉資金貸付金や、ひとり親家庭等医療費助成制度など、自治体が設けている支援制度もあります。
お問い合わせください。
3、離婚トラブルを弁護士に相談する3つのメリット
相手からの嫌がらせが続くときや、これから起こりそうで不安なときには、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、法的な視点からあなたの安全と権利を守るための具体的な方法についてアドバイスが受けられます。
ここでは、弁護士に相談するメリットと、実際に依頼した後の流れを解説します。
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(1)嫌がらせへの対処法についてアドバイスを受けられる
弁護士は、個別の事案に応じて、法的に有効な嫌がらせへの対処法や、安全を確保するための具体的な方策についてアドバイスが可能です。たとえば、どのような証拠を残せば有効か、警察や裁判所にどのように相談すればよいのかといった助言が受けられます。
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(2)相手との話し合いや交渉をすべて任せられる
弁護士が代理人としてあなたの代わりに交渉を行うため、相手と直接顔を合わせたり、連絡を取ったりする必要がなくなります。これにより精神的な負担が大幅に軽減されます。
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(3)裁判対応についても一任できる
万が一、調停や裁判に発展した場合でも、複雑な法的手続きをすべて弁護士に任せることができます。訴状が届いた場合も、答弁書の作成から裁判所への出頭まで一任できるため、事務的な負担が軽減され、ご自身の生活を守ることに集中できます。
4、弁護士に相談・依頼・解決までの流れ
弁護士への相談や依頼は、多くの方にとって初めての経験です。ここでは、相談前の準備から依頼後の解決までの一般的な流れを解説します。
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(1)相談前に準備しておくとよいこと
法律相談をより有意義なものにするために、事前に以下の点を整理しておくとスムーズです。
- 離婚したい理由、これまでの経緯を時系列でまとめたメモ
- 相手の主張や言い分
- 夫婦の財産(預貯金、不動産、保険など)に関する資料
- 嫌がらせの証拠(メール、録音、写真、日記など)
もし相手から訴状が届いている場合は、裁判所から送られてきた書類一式を必ず持参してください。
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(2)相談当日の流れ
相談当日は、まず弁護士がじっくりと話を聞き、事実関係を整理します。その上で、法的な見通しや考えられる解決策、今後の手続きの流れ、そして弁護士費用について説明があります。説明に納得できれば、正式に委任契約を結ぶことになります。
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(3)弁護士依頼から解決までの流れ
正式に依頼すると、弁護士は委任契約で定められた範囲で、あなたの代理人として活動を開始します。
離婚問題解決までの一般的な流れは以下の通りです。【離婚問題解決までの主な流れ】
・STEP1:相手方との交渉(協議離婚)
まずは裁判外での話し合いによる解決を目指します。弁護士があなたの代理人として相手方(または相手方の代理人弁護士)と連絡を取り、慰謝料や財産分与、親権などの条件について交渉します。
・STEP2:離婚調停
交渉で合意に至らない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停は、裁判官と調停委員を交えた話し合いの手続きです。弁護士は代理人として調停期日に同席し、あなたの主張が法的に正しく伝わるようサポートします。
相手と顔を合わせずに手続きを進めることも可能です。
・STEP3:離婚訴訟(裁判)
調停でも合意できない場合、最終的に離婚訴訟を提起します。弁護士は、訴状や準備書面といった裁判所に提出する書類の作成、証拠の提出、法廷での弁論など、訴訟に関する一切の手続きを代理します。離婚そのものだけでなく、慰謝料や財産分与の請求もあわせて行うことが一般的です。
お問い合わせください。
5、まとめ
離婚問題では、相手からの嫌がらせや、手続きを長引かせるような行動が見られることもあります。しかし、法律の仕組みを正しく理解し、必要な対応を取ることで、冷静に対処することができます。
嫌がらせの内容によっては、警察への相談や保護命令の申立てといった法的手段を取ることが可能です。また、婚姻費用の未払いなど経済的な問題についても、家庭裁判所での手続きや公的支援制度を活用すれば、生活を守ることができます。
そして何よりも大切なのは、一人で抱え込まないことです。不安な気持ちや対処の難しさを感じたときは、早めに弁護士へ相談してください。相談の段階で状況を整理し、今後の方針を立てるだけでも十分な価値があります。
まずは、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスにご相談ください。現状をお伺いし、どんな選択肢があるのかを丁寧にご説明します。
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