長野市在住の交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の相場と請求方法

2025年12月22日
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長野市在住の交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の相場と請求方法

長野市の発表によると、令和6年の長野市内での交通事故発生件数は969件で、負傷者数は1166名でした。

交通事故の被害に遭った際には、速やかにケガの治療を受け、加害者側へ適切な慰謝料を請求すべきです。ところで、慰謝料の相場はいくらくらいで、どのような計算方法を用いるのか知りたい方もいるでしょう。

本コラムでは、さらに詳しい長野市の交通事故の現状をはじめ、交通事故被害者がやるべきことや慰謝料の相場、計算方法などについて、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士が解説します。


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1、長野市の交通事故の現状

長野市では、どれくらいの交通事故が発生しているのでしょうか。長野市における交通事故の現状を紹介します。

  1. (1)長野市内の事故発生状況

    先述のとおり、長野市が公表する「令和6年の交通事故の発生状況」によると、令和6年の交通事故の発生件数は969件で、そのうち負傷者数は1166名・死者数5名でした。令和5年と比べて発生件数と負傷者数が増加しています

    発生件数 負傷者数 死者数
    令和6年 969件 1166名 5名
    令和5年 965件 1107名 5名

    出典:「交通事故の発生状況」(長野市)

  2. (2)長野市内の交通事故の傾向

    長野市地域活動支援課が公表した「令和6年(2024年)交通事故発生現況」によると、類型別の事故発生件数とその割合は次のとおりです。

    発生件数 全事故のうちの割合
    高齢者が関係している事故 393件 39.5%
    高齢の運転手が起こした事故 256件 25.7%
    夜間に発生した事故 280件 28.1%
    自転車が関係している事故 177件 17.8%
    歩行者が関係している事故 145件 14.6%
    子どもが関係している事故 46件 4.6%

    出典:「令和6年(2024年)交通事故発生現況」(長野市地域活動支援課)

    「高齢者が関係している事故」や「高齢の運転手が起こした事故」を見ると、高齢者が巻き込まれる事故の割合は少なくありません。

    老人福祉専門分科会のデータによると、長野市の65歳以上の高齢者人口は令和5年4月1日時点で総人口36万6591名のうち11万2072名でした。今後は高齢化により、さらに高齢者が巻き込まれる交通事故が増加する懸念があるため、車の運転をする際は十分に注意を払うべきです。

    出典:
    「高齢者を取り巻く現状と将来の見通し」(長野市社会福祉審議会老人福祉専門分科会)
    「令和6年版 高齢社会白書」(内閣府)

    さらに、上記表からは、夜間に発生する交通事故も少なくないことがわかります。長野市内で発生する事故のうち3割近くが夜間に起きているため、周囲の確認はもちろん、電灯の明かりがない場所も十分に注意して運転をしましょう。

2、交通事故の被害に遭ったらすぐにやるべきこと

交通事故の被害に遭ったら、警察に連絡をするなど、やるべきことがあります。ケガをしてすぐに病院へ行くケースを除いては、以下の対応を取りましょう。

  1. (1)警察に連絡する

    交通事故の被害に遭ったら、その場で警察に通報します。車の運転者は、被害者でも加害者でもすぐに警察に報告しなければなりません。これは、法令で定められた義務です(道路交通法第72条)。報告をしないと、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金を科せられるおそれがあります(道路交通法第119条1項17号)。

    警察が到着すると、現場検証や当事者などへの聞き取りをして実況見分調書を作成します。これは、加害者と被害者の過失割合(事故の責任を表す割合)を決めるための証拠にもなるため、できる限り正確に事故の発生原因や状況を伝えるべきです。

  2. (2)加害者の情報を聞き取る

    警察に通報したら、加害者の情報を聞き取り、相手の車両についても確認をしましょう。加害者の身元や連絡先がわからないと、スムーズに慰謝料請求などを行うことができません。
    確認したい情報は、主に以下のとおりです。

    • 加害者の氏名
    • 加害者の住所と電話番号
    • 加害者の勤め先の社名と電話番号
    • 加害者の保険会社の社名と電話番号
    • 加害車両の保有者
    • 加害車両のナンバーや車種
    • 加害車両の損傷がわかる写真や動画
  3. (3)加入している保険会社に連絡をする

    次に、自分や同居の親族が加入している任意保険にも連絡をしましょう。交通事故被害に遭ったときに使える特約が付されている場合があるからです。
    たとえば、弁護士費用特約・人身傷害補償特約・搭乗者傷害特約などが考えられます。

  4. (4)医療機関を受診する

    交通事故でケガをした際は、必ず病院を受診しましょう。自覚症状がなくても念のため受診することが大切です。

    交通事故によるケガの場合、むち打ちなどで後日痛みが出ることも少なくありません。しかし、あとから痛みが出ても、事故後すぐに受診していなければ交通事故との因果関係が認められず、慰謝料請求が難しくなるおそれがあります

    また、医療機関を受診したら、医師の指示に従って完治または症状固定となるまで必ず通院しましょう。自己都合で通院をやめてしまうと、適切な治療費を請求することができません。

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3、長野市の交通事故被害者が知るべき慰謝料の基本

交通事故で被害を受けたら、受けた損害に対する慰謝料の請求を検討しましょう。慰謝料の請求先は、基本的には相手方の保険会社です。ここでは、請求できる項目・計算方法・相場をご紹介します。

  1. (1)慰謝料請求ができる項目

    人身事故の被害に遭ったら、以下のような慰謝料を請求することが可能です。

    ① 入通院慰謝料
    交通事故のケガによって生じた精神的損害への慰謝料です。1日だけの通院であっても請求できます。

    ② 後遺障害慰謝料
    ケガの治療をしたものの症状が残ってしまう状態を後遺障害と呼びます。後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことで生じた精神的損害への慰謝料です。症状の重さによって1から14級のなかから認定される後遺障害等級によって、金額が定められます。

    ③ 死亡慰謝料
    交通事故の被害で死亡したことによる、被害者やその家族の精神的損害への慰謝料です。亡くなった本人が負った損害として請求することができるほか、被害者の遺族は家族を亡くした苦痛への慰謝料を別途請求できます。

    ④ 慰謝料以外の賠償請求項目
    慰謝料以外にかかった費用についても、賠償請求が可能です。たとえば、車の修理代や代車使用料をはじめ、治療費・通院交通費・休業損害(欠勤によって得られなかった収入)などが挙げられます。
  2. (2)交通事故の慰謝料計算方法

    交通事故の慰謝料を請求する際は、相場を確認しましょう。慰謝料の相場は、採用する計算基準により異なります。

    ① 自賠責基準
    自賠責保険会社が用いる基準です。自賠責保険は、被害者に対して最低限の補償を確保するために強制加入が課せられている保険です。そのため、ほかの基準よりも慰謝料は低く設定されており、被害者にもっとも不利な基準とも言えます。

    ② 任意保険基準
    任意保険会社が用いる、各保険会社が独自に設定している基準です。金額は非公開ですが、自賠責基準よりも少し高い程度に設定されていると考えてよいでしょう。

    ③ 裁判所基準(弁護士基準)
    裁判所が採用している基準です。過去の裁判例をもとに設定されているため、法的にもっとも適しており、被害者に有利な基準と言えます。裁判所基準を採用することで、納得いく慰謝料を受け取れる可能性が高まるでしょう。
  3. (3)通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場

    ここでは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について、自賠責基準と裁判所基準では慰謝料にどれくらいの差があるか、いくつかの例を紹介します。

    【入通院慰謝料】

    通院期間 実通院日数 自賠責基準 裁判所基準
    1か月 10日 8万6000円 19万〜28万円
    3か月 30日 25万8000円 52万〜77万円
    6か月 50日 43万円 67万〜90万円

    3か月通院した場合、自賠責基準では25万8000円の慰謝料が支払われるのに対し、裁判所基準では52万円以上が相場となるため、2倍以上の差が生じる可能性が高いでしょう。

    【後遺障害慰謝料】

    後遺障害等級 自賠責基準 裁判所基準
    14級 32万円 110万円
    12級 94万円 290万円
    10級 190万円 550万円
    8級 331万円 830万円
    6級~1級 512万~1150万円 1180万~2800万円

    先述のとおり、後遺障害が残った場合は後遺障害慰謝料を請求できます。特に症状が重い場合、受け取れる金額の差も大きくなるため、裁判所基準を使用できる弁護士への相談を検討しましょう。

  4. (4)示談交渉の流れ

    示談交渉は、交通事故による損害が確定してから開始します。ほかに損害が発生せず、示談金を計算できるようになった時点と考えるとよいでしょう。

    具体的には、ケガが完治したときか、症状固定となって後遺障害等級認定の結果がでたときが、示談交渉のタイミングです

    ① ケガが完治した場合
    ケガが完治したら、それ以上は交通事故による損害は発生しません。そのため、加害者側の任意保険会社と示談交渉を開始し、成立すれば示談金を受け取って事件は終了となります。

    ② 症状固定となった場合
    症状固定は、さらに治療を続けても回復する見込みがないと医師が判断したときに下される診断です。完治ではないため、後遺障害が残ったとして後遺障害等級認定を受けることになります。認定結果が出たら、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を計算して示談交渉を開始し、成立すれば示談金を受け取って事件は終了となります。
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4、交通事故の対応を弁護士に任せたほうがよいケース

交通事故の示談交渉は、弁護士に依頼することをおすすめします。
保険会社から提示された慰謝料の金額に納得できないときは、弁護士に依頼することで増額できる可能性が高まります

なぜなら、弁護士が利用できる裁判所基準は、保険会社が用いる任意保険基準と比べて請求できる慰謝料が高額だからです。

また、以下のような場合も、弁護士へ依頼することでスムーズに対応可能になります。

  • 交通事故の過失割合に納得できない
  • 加害者側の保険会社から治療費を打ち切ると言われた
  • 後遺障害等級の認定手続きをしなければならない
  • 認定された後遺障害等級に納得できない
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5、長野市内の交通事故相談窓口と弁護士の選び方

交通事故について相談をしたいときは、各市町村などが設置している窓口や、弁護士に相談しましょう。長野市の主な窓口と弁護士の選び方をお伝えします。

  1. (1)長野市内の交通事故相談窓口

    長野市内での交通事故について相談したいときは、次の窓口の利用が可能です。

    ① 長野県交通事故相談所
    長野県が開設している相談所です。示談の進め方や損害賠償請求の算定方法など交通事故に関係するお悩みについて説明やアドバイスを受けることができます。相談料は無料です。

    ② 日弁連交通事故相談センター
    交通事故の被害者救済のため、日本弁護士連合会が運輸大臣の認可を得て設立した相談センターです。無料で法律相談に応じたり示談をあっせんしたりしています。
  2. (2)交通事故の相談をする際の弁護士の選び方

    交通事故対応を依頼するなら、法律問題のなかでも交通事故の解決実績が豊富な弁護士を選びましょう

    交通事故においては、専門的な経験と知識が欠かせません。法的根拠に基づいた主張が、適切な慰謝料請求や後遺障害等級認定につながります。
    交通事故案件の経験が豊富な弁護士であれば、次のようなことが可能です。

    • 交通事故とケガの因果関係を証明する
    • 裁判所基準で保険会社と慰謝料の交渉をする
    • 必要な検査をアドバイスする
    • 後遺障害診断書の内容を確認する
    • 後遺障害等級認定手続きや異議申し立てを行う
    • 代理人として訴訟対応をする
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6、まとめ

交通事故被害者となった際、適切な慰謝料を請求するためには、裁判所基準での交渉や後遺障害等級認定手続きなど、被害者本人だけで行うのが難しいことも少なくありません。

交通事故の被害でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスへご相談ください。交通事故問題の解決実績や医療知識が豊富な弁護士が、納得できる慰謝料を請求できるようサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています