交通事故における弁護士特約の使い方とは? 使用するメリットを解説
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2022年に長野県内で発生した交通事故は4752件で、そのうち長野市で発生したものは976件でした。
交通事故の被害に遭ったら、加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償を請求する際には、弁護士に依頼すれば加害者側の保険会社とも対等に交渉を行うことが可能になるほか、慰謝料の金額を増やすこともできます。そして、弁護士費用特約を利用すれば交通事故の弁護士費用の大部分が保険金によってカバーされます。
本コラムでは、交通事故時に利用できる弁護士費用特約の使い方などについて、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士が解説します。
1、弁護士費用特約とは
「弁護士費用特約」とは、自動車保険や火災保険などに付帯される、弁護士費用を保険金から支払う旨の特約です。
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(1)弁護士費用特約の保障内容
弁護士費用特約を付帯させた保険に加入していれば、何らかのトラブルによって弁護士への依頼が必要となった際、保険会社に弁護士費用を支払ってもらえます。
弁護士費用は数十万円から数百万円に及ぶことが多いですが、弁護士費用特約によって全部または一部がカバーされるため、経済的負担は大きく軽減されます。
弁護士費用特約によってカバーされる弁護士費用の上限は、300万円程度が標準的です。
また、特約の内容によって、依頼内容が制限されている場合があります。
弁護士費用特約の詳細については、加入している保険会社にご確認ください。 -
(2)弁護士費用特約は家族も利用できる場合がある
弁護士費用特約は、被保険者本人だけでなく、家族も利用できる場合があります。
一般的には被保険者本人に加えて、被保険者の配偶者・同居の親族・別居かつ未婚の子が弁護士費用特約を利用することができます。
ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険にも弁護士費用特約が付いていないかどうか確認してみましょう。
2、弁護士費用特約の使い方
以下では、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼する際の手続きを解説します。
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(1)弁護士費用特約の有無や保障内容を確認する
まずは、ご自身の加入している保険に弁護士費用特約が付帯されているかどうか確認してください。
弁護士費用特約は、自動車保険や火災保険、またはクレジットカードの保険などに付帯されていることが多いです。
弁護士費用特約を利用できる場合は、その保障内容を確認しましょう。
交通事故に遭った際に保険会社に連絡すれば、弁護士費用特約が使えるか教えてもらえます。
また、補償額や依頼できる事件の種類などについて何らかの限定が付されている場合には、それに留意する必要があります。 -
(2)弁護士を選んで依頼する
弁護士費用特約を利用して依頼する弁護士は保険会社から紹介を受けることもできますが、自分で選ぶこともできます。
交通事故については、交通事故案件を豊富に取り扱う弁護士を自分で選ぶのがよいでしょう。
相談した際の相性や弁護士費用なども考慮して、総合的に信頼できる弁護士を選ぶことをおすすめします。
もし弁護士費用特約の上限を超過する場合には、自己負担が発生するので注意が必要です。
また、弁護士には、弁護士費用特約を利用する旨を伝えておいてください。 -
(3)依頼先の弁護士を保険会社に連絡する
依頼先の弁護士が決まったら、弁護士名や事務所の情報を保険会社に連絡しましょう。
保険会社において手続きが行われ、弁護士費用を代わりに支払ってもらえます。
3、交通事故について弁護士費用特約を使うべきケース
以下では、交通事故の被害者が弁護士費用特約を利用すべき場合を解説します。
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(1)加害者側から示談金額(保険金額)を提示された場合
交通事故の損害賠償請求に関する示談交渉では、加害者の保険会社から示談金額(保険金額)が提示されます。
加害者側から提示された示談金額が妥当かどうかは、交通事故の状況を詳しく分析したうえで判断しなければなりません。
示談に合意した場合は原則として撤回できないため、加害者側から提示を受けた時点で、弁護士に依頼してアドバイスを求めることをおすすめします。 -
(2)後遺障害等級認定を申請する場合
交通事故によるケガが完治せずに後遺症がのこった場合は、加害者側の自賠責保険会社を通じて後遺障害等級の認定を申請できます。
加害者側に請求できる逸失利益や慰謝料の金額は、認定される後遺障害等級によって変動します。
したがって、適正な後遺障害等級の認定を受けることが非常に重要です。
後遺障害等級の認定に当たっては、主治医が作成する後遺障害診断書が重要な参考資料となります。
弁護士は、後遺障害診断書に適正な内容が記載されるようにサポートすることができます。
実際の後遺障害等級認定の申請は、加害者側の保険会社に手続きを任せる「事前認定」、または被害者自ら手続きを行う「被害者請求」のいずれかの方法によって行います。
そして、納得できるかたちで後遺障害等級の審査をしてもらうためには、被害者請求を行うことが大切です。
ただし、被害者請求は自分で書類を用意しなければならないので、手間や負担がかかるという点がデメリットになります。
弁護士に依頼して被害者請求の手続きを代行してもらうと、本人の負担を大幅に軽減することができます。 -
(3)損害賠償請求訴訟を提起する場合
加害者側との示談交渉がまとまらない場合は、最終的に裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起することになります。
訴訟では、加害者側の過失や交通事故による損害などを証拠に基づいて立証しなければなりません。
立証に失敗すれば損害賠償を受けられなくなるため、きわめて慎重な対応が求められます。
また、訴訟手続きのルールや内容は非常に複雑であるため、一般の方が自力で対応するのは非常に大変です。
弁護士に依頼すれば、訴訟手続きの準備や対応を全面的に代行させられます。
弁護士費用特約を利用してすれば、経済的な負担を抑えながら、訴訟手続きについても適切に対応することが可能になります。
4、交通事故対応を弁護士に依頼するメリット
以下では、交通事故の被害について、弁護士に相談や依頼することのメリットを解説します。
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(1)裁判所基準によって慰謝料を請求できる
交通事故の慰謝料の算定基準はひとつではなく、複数の種類があります。
加害者側の保険会社が慰謝料の金額の算定に用いているのは、「任意保険基準」と呼ばれる基準です。
これに対して、弁護士は「裁判所基準」に基づいて慰謝料の金額を算定・請求することができます、
裁判所基準は過去の裁判例を基にしたものであり、任意保険基準に比べて高額な算定がなされます。 -
(2)適正額による示談成立の可能性が高まる
加害者側の任意保険会社の担当者は、示談交渉の経験を豊富に持つ、いわば交渉のプロです。
交通事故の被害者のうちの多くは一般人であり、交渉の経験や損害賠償請求に関する知識に乏しいため、被害者本人が加害者側と交渉を行ってしまうと不利なかたちで示談が進み、実際に生じた損害に見合わない金額の賠償しか得られないおそれがあります。
しかし、保険会社の担当者と同じく交渉のプロであり、専門的な知識も豊富に持つ弁護士に交渉を依頼すれば、適正な金額で示談を成立させる可能性を高められます。 -
(3)面倒な手続き・対応を一任できる
後遺障害等級認定の申請や加害者側との示談交渉・訴訟などへの対応は、不慣れな方にとっては非常に大変です。
また、保険会社から治療費の打ち切りの提案を受けた場合などは、ご自身で適切な判断をすることは非常に困難でしょう。
弁護士には、交通事故の損害賠償請求に関する面倒な手続きや対応を全面的に代行させることができます。
治療や生活に専念しながら損害賠償を請求したい場合には、弁護士に依頼してください。
5、まとめ
交通事故の損害賠償を請求する際には、弁護士に依頼することで、適切な金額の賠償金を得られる可能性を高められます。
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の全部または一部がカバーされるので、まずは自身が加入している保険の内容を確認しましょう。
ベリーベスト法律事務所では、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を随時受け付けております。
弁護士費用特約も利用できますので、交通事故の被害に遭われた方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています