借主の賃料増額拒否に対し調停・訴訟を経て退去を実現

  • CASE1292
  • 2025年08月18日更新
  • 法人
  • 不動産業

ご相談内容

A社は不動産業を営む会社です。A社は東京都内の居住用マンションの一室を購入しましたが、そこには前の所有者との間で賃貸借契約を締結した借り主が住んでいました。
賃貸借契約の締結から5年以上が経過し、昨今の不動産価格の高騰や物価の上昇から、賃料が周辺と比較して非常に低額になっていました。
A社は、従前の低廉な賃料のまま据え置くことは難しく、周辺の同種物件の賃料額に近づけたいと考えて、借り主に対して直接、賃料増額のお願いをしました。
しかしながら、借り主は賃料増額を拒否し、従前の賃料のみ支払っていました。
借り主が賃料増額を拒絶し続けている状況で、今の借り主との間で賃料を増額するか、今の借り主には退去してもらって新たに相当な金額で貸し出すかのどちらかにしたいと考えたA社は当事務所に相談に来られました。

ベリーベストの対応とその結果

A社は相談前に借り主に対して賃料増額の通知を行っており、それに対して借り主が断固拒否の姿勢を明確にしていたことを踏まえ、ベリーベストは裁判所外での交渉ではなく裁判所での手続きの依頼を受けました。
賃料増額については、訴訟(裁判)の前に調停を行う必要があるため、当事務所はすぐに賃料増額調停を申し立てました。
調停申し立ての際には、賃貸借契約開始からこれまでの経緯、賃料増額の背景、当事者間での交渉の経緯を詳細に記載した申立書を作成し、裁判所や相手方(借り主)にA社の主張やその根拠となる事実を明確に伝えました。
調停では、A社の主張や根拠を理解した裁判所が借り主を説得しましたが、借り主が同意せず調停は不成立で終了しました。
調停終了後、当事務所はすぐに訴訟を提起しました。訴訟になっても借り主の姿勢は変わらず、賃料額について真っ向から対立したままでした。当事務所は判決を見据えて、不動産鑑定士による相当賃料額の鑑定を裁判所に求め、鑑定の実施が決まりました。この不動産鑑定にかかる費用は最終的に原告と被告の双方で負担しなければなりません。その鑑定料が高額であったことが最後の一押しとなり、借り主が退去の意思を示したため、退去を内容とする和解が成立し、借り主は訴訟終了後すぐに退去しました。

解決のポイント

貸主側から賃貸借契約を終了させて退去を求めた場合は、貸主は借り主に対して高額の立退料を支払うことが一般的です。
本件では当初から一貫して賃料の増額のみを請求して当事務所からは退去の選択肢を示さなかった結果として、借り主側からの退去の申し出となったことから、通常高額となる立退料を支払うことなく、退去明け渡しが実現できました。

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